システムトレードとは(説明&実施手順)
システムトレードは、テクニカル投資を更に徹底した方法だと、Hiroは思います。テクニカルの売買条件を、さらに厳密にし、計算式で表せる形にしたものです。つまり、コンピュータでも売買ができるようにしたものです。
システムトレードは次のような手順で作ります。
@トレード方法を考える
過去の経験や、ネットや他の投資家のトレード方法を参考にして、「こういう条件になった時は、株価が上がる(下がる)」という売買の条件を考えます。
最初から、独創的なトレード方法を考え、良い結果を出すのは難しいでしょうから、最初は、有名なシステムトレード法(例えば、3点チャージ法など)をアレンジすることから始めると良いでしょう。そこで使用されているテクニカル指標の数値や計算期間をオリジナルと変更するだけで、検証結果が良くなったり、悪くなったりします。自分の投資スタイル(長期間投資、短期間投資、勝率重視、利益重視)に合わせた結果が出るように指標の計算条件を変更するだけで、自分独自のシステムトレード法になります。
売買条件の設定で、大切なのは、トレードの開始だけでなく、終了の条件も1セットで考えることです。終了条件が成立しないとトレードが完了しませんので、以下の点に注意して終了条件を設定しましょう。
・利益確定で終了する条件と、利益確定ができなかった時(例えば損切りの場合)の条件の2つを設定する。
例)「買値+10%になったら終了」という終了条件だけだと、株価が「買値+10%」に到達しない限り、何年経っても
トレードが終了できない。→「トレード開始後、3ヶ月経ったら、終了する」というような必ず終了する条件を追加。
・終了条件が思いつかなければ、買値から何%上がったら終了とか、何日経ったら終了というように、上昇率や期間で
設定する。
A売買条件を計算式にする
例えば、テクニカルの条件で、「長い上ヒゲが出たら売る。」という方法があるとします。これをシステムトレード的に表現すると、
システムトレードでは、長い上ヒゲを(左の絵のような場合を例とする)、次のようにして計算式にします。
最初に、ヒゲの長さを ヒゲ=[高値]−[終値] と言う計算式で表現し、
次に、「ヒゲの長さ」が、「どのくらいになったら『長い』と言うのか?」を決め、計算式で表します。
例えば、本体の長さ([終値]−[始値])の、2倍以上になったのが、「長いヒゲ」だ!と決めると
売りの条件は、 [高値]−[終値] ≧ ([終値]−[始値])×2 となります
↑ヒゲの長さ ↑「長いヒゲ」の定義
ちょっと、頭が痛くなってきましたか? でも、検証ソフトによっては、厳密な計算式を考えなくても、自分の考えに近い条件を「言葉」で、リストから選べるものもあるので、それを利用するのも良いでしょう。
B「検証(バックテスト)」をやる
このように、計算式で売買条件を定義した後は、過去の株価データを使って、どのくらい勝てるのかを調べます。これを「検証」とか「バックテスト」といいます。
検証には検証ソフトを使います。検証はちょっと時間がかかりますが、長めの期間の株価データを使って実施したほうが、システムの安定性がわかるので、できるだけ長い期間の株価データを使って実施しましょう。
検証は、売買条件に合った市場を対象にして実施します。
Hena-Systemのように、「空売り」からスタートするのに、市場を「貸借銘柄」にしないで、「全銘柄」にしても無意味です。また。日経225銘柄だけ、とか、東証1部、新興市場などに分けてみると、同じ条件でも結果が変わる場合もあります。特定の市場を対象にした方が、良い結果が得られる場合は、その市場だけをトレードの対象にするのも、1つの方法です。
C判定する
・勝率、利益率
両方とも高いのが理想ですが、勝率は低くても、トータルの利益は高いもの、勝率は高いけど、トータルの利益は
低いものでも、本人が納得した結果なら良いでしょう。
また、勝率にこだわり、条件を厳しくしすぎると、トレード数が極端に減り、総利益が少なくなりますので、ご注意。
・長期間(例えば10年間)、安定して勝てるシステムか?
これが、一番大切です。総利益曲線が、なるべく右上がりの直線なシステムを目指しましょう。
・銘柄の抽出時期に偏りがないか?
例えば、ある時期は1日100銘柄リストアップされるが、その後、数ヶ月トレード無しというシステムでは、
リストアップされても、100銘柄全部買うことはできない。→優先順位付けを追加しましょう!
トレードが数ヶ月無い=収入も数ヶ月無い。めったに出ないので、監視を忘れる(監視するのがつまらなくなる)
ということで、計算上の結果と、現実のトレードで差が大きくなります。
・おおきく負け越すことはないか?
どんなに総利益が高くても、ある時期に大きく負け越していては、現実ではそこで資金が無くなってトレードが
続けられなくなりますので、売買条件の見直しが必要です。
D条件の見直し
検証結果を見て、納得がいかなければ、売買条件(=計算式)を変更し、もう一度検証を行います。
例えば、Aのヒゲの例でいうと
[高値]−[終値]≧([終値]-[始値])×2 の 「×2」を「×2.5」にしてみる。
とか、
『当日「陽線([始値]<[終値])」ならば』という条件を追加
いうように、条件を修正したり、追加したりします。
これを繰り返して、これだ!というシステムが完成します。
良いシステムが完成したら、システムトレードを続ける事の難しさを綴った
[システムトレードに挑戦A]
を、ご覧下さい。
検証ソフトの紹介
システムトレードに欠かせないのが、検証ソフトです。そこで、私が使ってみた3つのソフトを紹介します。
●Protra
フリーソフト(=
無料)です。基本は株式チャートの表示ソフトなんですが、ツールにPtsimという検証ソフトがついています。自分でエディタを使って売買条件のプログラムを作成する必要があるので、慣れないと使い難いですが、HPから1996年〜今年までの株価データがダウンロードでき、システムトレードの検証が行えます。また、データがACCESSというデータベースの形式なので、ACCESSが使える人は、そのソフトで直接データを加工することもできます。
このソフトに巡り会わなければ、Hiro-Systemは、できなかったと思います。とてもお世話になっているソフトです。
・長所は、
ソフトも株価データも無料で入手できる。
一般的ではない自分なりの指標を自由に作って検証を行うことができる。
・短所は、
プログラム作成の知識が、ある程度必要。
投資資金の配分ができない。
●
パイロン
→
こちらのページで詳しい使い方を紹介しています。
有料ソフトです。でも、さすがに有料だけのことはあります。プログラミングが苦手な方でも、割りと簡単に使えます。
パイロンのホームページから体験版がダウンロードできるので、Hiroもちょっと試してみました。
・長所は
操作がとても簡単でわかりやすい。
売買条件の作成は、リストの中から、テクニカル指標をマウスで選んで決定できるので、初心者でも操作しやすい。
株価データは1990年以降の分が入っていて、それを利用して検証できる。また、検証期間を選ぶこともできる。
自分で作成した条件で売買シグナルを毎日表示することができるので、検証だけでなく、実際のトレードにも使える。
<パイロン操作画面例>
・短所は
テクニカルに使用されるほとんどの指標は、リストに入っていて選択できるようになっているが、自分独自の指標(計算式)を作成して使うことができない。
こちらから、パイロンの無料体験版がダウンロードできます--->
申込み停止中のようです
検証できる【株ソフト】を無料で体験
●
イザナミ
→こちらのページで、詳しい使い方を紹介してます。
有料ソフトです。こちらも、公式HPからトライアル版が無料ダウンロードできます。
早速、ダウンロードして使ってみました。マニュアルを見ないでも使えるという面では、パイロンに負けますが、操作に慣れるとなんでもできるという感じで、機能がものすごく豊富です。
・長所は
売買条件の設定や検証機能が、ものすごく充実している。
1銘柄当たりの投資金額だけなく、資金配分や銘柄選択の優先順位など、細かい設定ができ、現実に近い投資方法の
検証ができる。
株価データが無料でダウンロードできる(2000年1月以降のデータ)
テクニカル指標をマウスで選べる他に、オリジナルの指標を作成・利用できる
・欠点は、
操作方法にちょっと慣れが、必要。(
こちらをご覧になれば、基本的な操作方法はマスターできると思いますが)。
個人的に言うと、パイロンでは、銘柄の選択で「貸借銘柄」を選択できたが、イザナミでは、「貸借銘柄」という選択条件が無く、自分で「貸借銘柄」の銘柄リストを作るのが大変だった。
こちらも、無料体験版がダウンロードできます。------>
『本格的システムトレード開発ソフト イザナミ』♪無料ダウンロード♪
Hiroが独断で、三つの検証ソフトを比較してみました。皆さんの評価はどうでしょうか? 体験版で試してみて下さい。
検証ソフト |
コスト |
操作性 |
データ期間 |
検証期間の
自由度 |
資金配分 |
ユーザー
定義指標 |
売買シグナル
発生 |
Protra
|
◎
(本体・データとも無料) |
×
(プログラミング知識が必要) |
○ (1996年〜)
|
×
(期間が選べない) |
△ |
◎ |
× |
パイロン
|
×
(データ更新が別料金) |
◎ |
◎ (1990年〜)
|
○ |
○ |
× |
○ |
イザナミ
|
△
(データ更新は無料) |
○ |
△ (2000年〜)
|
○ |
◎ |
○ |
○ |
記号の意味は、◎:最高 ○:よい △:まあまあ ×:もうちょっと
(最後に)Hena-Systemの検証結果
実は、Hena-SystemType-AとType-Bの2通りがあります。現在、公開しているのは、Type-Bです。
Type-AとType-Bの違いは、返済の時期だけです。銘柄選出の条件はType-Aも、Type-Bも同じです。
返済時期は、Type-Aが後場の引け、Type-Bは、今公開している通り、前場の引けになります。
Hena-Systemは、開発段階では、Type-Aで行っていました。
これが検証ソフト(Protra)で行ったHena-System
Type-Aの検証結果です。
<Protra Hena-System Type-Aの検証結果>
※売り禁止銘柄の除外と手数料の計算はしていません。
<Protra 利益曲線>
結構、いい形してるでしょ?大きな落ち込みも無いし、ほぼ直線に近い形で右上がりに伸びていて。
ただProtraだと、1日の取引銘柄数の制限ができないので、条件に合った全銘柄を売買した結果となっています。
Hena-Systemでは、3銘柄以上がリストアップされた場合、さらに優先順位のルールを追加し、1日最大3銘柄にしぼってトレードしますので、そのルールに従い、1日最大3銘柄にしぼったのが下のグラフです。
|
検証結果
(1銘柄50万円投資の場合)
Hena-System
Type-A
期間:1996/6/28-2009/7/3 トレード数
:2,145 勝ちトレード:1,340 負けトレード:
805
勝率 62.5%
総利益:\10,761,272
1回当り平均利益
\5,017
13年間で
50万円が1千万円以上に!
資金は21倍に(年平均1.6倍)
※但し、売り禁止銘柄の除外と
手数料の計算はしていません。
|
総利益は減りましたが、落込みも減り、一段と、安定感が増してきています。
現在公開中のType-Bの検証には、前場と後場に分けた株価データが必要なのですが、自分で集めた過去1年分くらいのデータしかないので、Type-Bの検証はできていません。ただ、過去1年のデータだと、Type-Bの方が勝率・安定感ともにType-Aより確実に上回っています。
Type-Bの検証は、このHP内の「今までの結果
」で、実際の毎日のトレード結果を使いながら検証していきたいと思います。
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