システムトレード、やってはいけないこと
どんなに良いシステムを考案しても、それをずっと続ける事は、とても難しい事だとHiroは思っています。
(それは、Hiroが甘い人間だからなのかもしれませんが・・・)。皆さんも、同じ経験をするかも知れませんので、ちょっとお話しておきます。
システムトレードでやってはいけない事はたった1つだけ、「ルールを守らない事(ルールをやぶる事)。」これだけです。
非常に簡単で、当たり前の事です。でも、・・・。これが、非常に難しい。
Hiroが今まで経験した事を例にあげましょう。
1.ルール破りを誘う「甘い誘惑」(Hiroの考えが甘いだけ?)
自分の発見から
<お話@>
ある人が考案したトレード方法を参考にトレードを開始したHiroは、最初は、ルール通りに、売買を行っていました。
ところが、数回、トレードを繰り返すうちに、Hiroが、
ルール通りにトレードを終了した数日後に、その銘柄の株価がさらに上昇している
ことがわかりました。
そこで、Hiroは、終了シグナルが出ても、すぐにトレードを終了せずに、もう一度株価が上昇してから、売ることにしました。すると、その後、数回は、期待通りに利益が出て、この方法を発見した自分の才能のすばらしさに、感激しました。
でも、さらに1ヶ月後、オリジナルのトレード方法のシグナルが出た後は、Hiroが期待したように、さらに株価が上がることがなくなり、それどころか、翌日から株価が下がり始め、結局、Hiroは、今まで儲けた分の利益以上に、損失を重ねてしまいました。
外からの情報<お話A>
あるトレード方法を参考にトレードを開始したHiroは、運悪く、株価が下がった状態で、そのトレードのルールの取引終了期日が近づき、「このままでは、今回は損切りで終わるなぁ」と覚悟していました。
ところが、終了期日直前に、この銘柄の4半期の決算発表があり
、「利益が上方修正された。」とのニュース
が飛び込んできました。Hiroは、「このニュースが出たから株価は回復する。」と考え、取引終了期日が来ても、その銘柄を売りませんでした。
しかし、株価は一向に上昇せず、それどころか、さらに、下落し、結局、Hiroは損切りのまま、売りました。その損失は、ルール通り終了した時の2倍以上の損失額となっていました。
取引の常識(通例?)<
お話B>
空売りからスタートするトレードを考案したHiroは、シグナル発生通りに、ある銘柄を購入しました。
ところが、運悪く、その銘柄は、どんどん上昇し、ストップ高になってしまい、その日、買い戻す事ができなくなってしまいました。
本来なら、その日終了できなければ、翌日の寄り付きで、買い戻すルールなので、翌日、寄り付きの「成行き」で買戻しの注文を、入れれば良かったのですが、
「ストップ高した銘柄は、翌日、寄付きから1時間くらいしたら、一度株価が下がる可能性が高い」
と考え、翌日の寄付き注文を入れませんでした。
ところが、その銘柄は、翌日も絶好調で、寄付きから数10分で、さらに上昇し、またストップ高になってしまいました。結局、その日も、Hiroは返済することができませんでした。
さらに、翌日、
「これだけ上昇すれば、そろそろ株価が下がってくる」
と考えたHiroは、翌日も返済注文を入れずに様子をみました。でも、この銘柄はその日も、更に上昇してしまいました。そして、その翌日も・・・。
数日後、証券会社から電話がかかってきました。「Hiroさんですか?お取引されている銘柄ですが、本日、**円以上で取引が終了すると、追証が発生し、追加金が必要となりますが、その株価になるまでにトレードを終了しますか?それとも追加金を入金しますか?」
Hiroは、あわてて、返済注文を入れ、そのトレードを終了しました。その損害で、Hiroはしばらくトレードができなくなりました。
さて、皆さんは、どうですか?同じような誘惑に負けていませんでしょうか?
2.誘惑に負けない為には
自分で、このようなことをしているので、偉そうなことは言えないのですが、上のお話@について、ちょっと考えてみたいと思います。
「トレードの終了のシグナルが出てから、更に株価が上昇するのを発見した。」のは、悪い事ではなく、逆に、さらにシステムを改善するための方法としては、良い事だと、思います。
でも、大事なことが、抜けてました。
システムトレードのルールを変更するには、バックテストを行わなければならない。
ということを。
相場は常に変化していて、そのシステムトレードの方法に「非常に合う時」と、「あまり合わない時」、「まったく合わない時」があります。その為に、システムトレードの方法を考える時には、なるべく長い期間をとって、バックテストを行ない、
「合う時」がなるべく多くなるように、
利益と勝率のバランスを考えながら、トレードの条件を追求しているのです。
例えば、システムトレードで、リストアップした銘柄を、購入価+5%で利益確定すると、勝率が60%になる。というシステムトレードの方法があったとします。これを、実際に30回トレード行うと、現実には下のグラフのようになります。
このグラフを、利益確定条件で、回数毎に勝率を集計してみると
回数 |
1〜10回目 |
11〜20回目 |
21回〜30回目 |
全体(1〜30回) |
105%で利益確定 |
8勝(80%) |
7勝(70%) |
3勝(30%) |
18勝(60%) |
110%で利益確定 |
7勝(70%) |
3勝(30%) |
2勝(20%) |
12勝(40%) |
というように、1〜10回目の時は、+5%で利益確定した場合、勝率80%。逆に21回目〜30回目では、勝率30%という結果です。このように、トレード時期によってバラツキがありますが、
全体としては、勝率60%を達成しているシステムなのです。
ところが、もし、Hiroのように、上のグラフの1〜10回目の時に、「+5%ではなく、+10%でも良いじゃないの?」と、たった数回の結果だけで判断し、利益確定ルールを「購入価+10%」変えてしまうと、その後(11回〜20回目の時)、勝率30%に落ち込み、さらに、21回〜30回目のシステムに合ってない状態に突入して、もうほとんど勝てない状態になってしまう場合があるわけです。
逆に、、「+5%ではなく、+10%でも良いじゃないの?」と思った時に、「+10%にするとどうなるか?」をバックテストしておけば、勝率が60%から40%にダウンすることが、予想できたかもしれません。
「ルールを変える時は、バックテストを行う。」 これが、システムトレードの鉄則です。
3.負け続けた時、どうする?
システムトレーダーは、基本的には、トレードのシグナルが出たら、その通りにトレードを行わなければなりません。ルールを守らなければ、いけません。
しかし、先程も言いましたが、相場は常に変化しています。それは、「景気が良くなった、悪くなった」ということだけが原因だけではありません。例えば、Hena-Systemのように、1回のトレードで、2〜3%しか儲からないトレード方法は、手数料の高い時代では、実現できなかった方法です。このように株式相場に参加する人の種類とかその人達のトレード方法も変化してきていて、景気の変化だけでなく、それ以外の株式投資を取り巻くいろいろなことの変化の全てが、微妙にからみあって相場は変化していきます。
だから、どんなすばらしいシステムトレードの方法を考案しても、それは、「それを考案した時までの相場に対して最高のトレード方法」だけれど、「その後の未来のトレードに対して、最高の結果を保証するもの」とは言えないのです。
ということで
、「どんなにすばらしいトレード方法でも、相場と合わなくなる時が来る」と、常に思っていて下さい。つまり、「どんなすばらしいトレード方法でも、相場の動きに合わなくなり、負け続ける時が来るかもしれない」という事です。
さらに言うと、負け続けるのも、2種類あります。
1つは、一時的にトレードに合わない時期に入った場合。
もう一つが、相場そのものが変化してシステムトレードの方法が当てはまらなくなってしまった時。
最初の場合は、我慢していれば、また、システムトレードに合う時期がやってきますが、後者の場合は、そのトレード方法を続ければ続けるほど、損失が増えてしまう可能性があります。
残念ながら、トレードを行っている時点では、そのどちらの原因で負けているのか判別できません。さらに、自分がすばらしいシステムを開発したと思っているほど時ほど、いつかは復活すると信じ、負けても、負けても、そのトレード方法を続けてしまいます。
そして、その結果は・・・。
そこで、Hiroの提案ですが、どんなすばらしいトレード方法を実施する場合でも、その
トレード方法を中止する時の条件をあらかじめ考えておきましょう!
この中止の条件は、その人の資金力にも関係しますが、「自分の資金がそのトレードでの、損益の累計金額の最高額から○○万円下がったら、そのトレード方法を一旦中止する。」とか、「トレードの最近10回の勝率が30%以下になったら中止する」というように、決めておくのです。
それも、「このトレード方法で、ここまでになるはずは無いと思うけれど」とか、「資金が○○円以下になったら、トレードができなくなる」という所に、中止の条件を設定しておくのです。
「めったに起こらない事がおきた時」、「それ以上は負けられないという所まで負けた時」、それは、トレードを中止する時です。勇気を持って、中止しましょう!
さらに、それだけではなく、「中止した後の損益の推計金額の最低額から○○万円上昇したら」とか「その後、最近10回の勝率が50%以上になったら」というように、
トレードを再開する条件も設定しておくことを、お勧めします。(下図、参照)
つまり、「トレードを中止しても、そのトレード方法で売買した場合の成績の監視は継続し、トレードを再開する条件に当てはまったら、そのトレード方法を再開する。」ということです。
このように、「どんなにすばらしいトレード方法でも、システムトレードを中止する条件、再開する条件を、あらかじめ、決めておく事。」これが、健全にトレードを行っていく方法だと、Hiroは考えています。